醸句通信
2007年01月
2007.01.13
松本秀樹さんより ~埼玉県在住
お酒をたずねて、備前めぐり
宇野バスを降りると橋の向こうに白い壁と杉玉が見える。
橋を渡ると桃の形の欄干の向こう側から桃太郎が、よく見ると利守酒造の若旦那でした。
蔵の案内をしていただいて後、最後に案内された部屋で待っていると、杜氏の田村さんが登場。
公民館の茶碗のような大きな利き猪口でラベルの無い茶色のびんから、いくつかの酒一筋を注いでいただいた。
猪口に口を近づけると華やかな香りが鼻に飛び込んでくる。
口に含むと厚みのある味がいっぱいに広がりのどを過ぎるともう一度香りだけを残してすっと消えていく。
目を上げると田村さんの気迫と共に「どう?」と視線が聞いている。
「おっ美味しいです」それだけやっと答えながら、素晴らしいお酒を「美味しい」としか表現できない語彙の無さを深く深く反省しながら、心地良い酔いとともに「うまい、うまい」と小声でつぶやきながら飲む酒一筋であった。(ただの酔っ払い?)
当然帰りには、リュックいっぱいの酒一筋と備前焼の猪口を買って、埼玉のお山に帰りました。
2007.01.13
鈴木浩之さんより
泥の中の足が冷たい、いや、涼しい。足が気持ちいい。
帽子を田に落としたおかげか日差しも気にならない。
前には、不揃いだが苗が並んでいる。7,8箇所植えて、顔を上げ2,3歩後ろにさがる。
そこで休んでいると次に一番最後になってしまう。
さっきの自分の足跡をならす。根が絡みあっている苗を3本づつ取り分ける。
すると、目印の赤いビーズ付きの糸が目の前に動いてくる。赤い目印のところとその間に植える。
そして、去年の田植酒と定番の赤磐雄町。ビニールシートに車座になって座る。
田村杜氏の話を風が運んでくる。子供は川で水遊びである。
植えた苗は、清野さんのものらしいとの噂。
稲刈にも参加したい。
それに、随時募集という草刈りに参加しなければ。なんといっても田起こしもしてないのだから。
2007.01.13
小泉 正彦 さんより
「酒一筋」を初めて飲んだのは、日本酒を飲み始めて1年くらいたった平成5年2月17日です。
行きつけの酒屋さんが主催する飲み会があって、その時のテーマが「備前の酒一筋を味わう」でした。
そこで味わったのは、大吟醸(生)35%、大吟醸黒フロスト(生)35%、有機大吟醸「自然酒」(生)など11種類でした。それまで線の細い酒を好んで飲んでいた私には、「酒一筋」のボディのある味わいは鮮烈でした。「自然酒がすっごい美味しい」とはしゃいで酒屋さんに言ったのを覚えています。
以来、リーズナブルな価格で美味しくいただける「酒一筋」を愛飲しています。どんな時に飲むかと言えば、ちゃんと食べようという時に飲みますね。食べ物もお酒もどっちも美味しくなるから。しゃぶしゃぶや豚の水炊きなどの鍋物が好きなので、食べながらガバガバ飲みます。
ところで、平成8年の夏に利守酒造さんを見学させていただき、部長の弘充さんにとても親切に案内をしていただいたのですが、「ここはだめ」と制された倉庫がありました。あの倉庫にはどんな酒が眠っているのでしょうか……?
2007.01.13
中川 昌士 さんより
「懐古の酒(ブルーボトル)」に出会ったのは、平成5年4月、酒友との花見の時です。
見つけたばかりの地酒揃えの酒屋さんで、ちょっと贅沢をしようと選びました。
私の呑んだ最初の酒一筋のお酒です。ゴクリと呑んだ後、腹にずしりと感じる余韻は、私の大吟醸酒に対する印象を変えました。以来、純米吟醸、純米大吟醸を中心に愛飲しています。清酒の中でも、お肉や、濃い味付けのものでも、平気で合うと思いますが、天ぷらや、鍋など、温かいものと合わせたときの、フワリとしたやさしい旨味が特に気に入ってます。
一昨年には、赤磐雄町の田植えにも参加しました。米造りのプロでもある田村杜氏の、優しい笑顔と分厚い手のひらが印象的でした。「鑑評会や斗瓶取りのお酒は8頭身の美人、わたしは6頭身位の方が好きだ。」との言葉に、定番酒の美味さの秘密が有るような気がしました。ちなみに、私は、斗瓶も定番酒も、両方大好きです。
2007.01.13
柴田 諭 さんより
酒一筋「南山壽」を呑んで・・・・・
私は普段、「酒」というとビールばかりでした。
日本酒を呑んでいた時もあったのですが、次の日になっても残る、二日酔いになり易いというイメージがあり、だんだんと離れていきました。
そんなとき、たまたま奨められた酒一筋を口にして私の日本酒に対する印象はかわりました。
まず、二日酔いにならない。水を飲んでいるかのごとく、するりと喉を通る。
酒一筋を呑んでいると、今まで私が呑んでいた日本酒というのは、いったいなんだったんだろう? という気分にさせられます。
これからは、安酒はやめよう。
酒一筋を呑み出して、まだ浅いですが、私も愛飲者の一人になろうかな………
2007.01.13
石澤 Foo さんより
私は、仕事柄日本酒を販売しているが、どちらかと言うと一杯飲るのが好きなほうだ。それも、とびきりの「吟醸酒」で……。
出会いは10年以上前にさかのぼる。
私は「吟醸酒」に骨抜きにされていた。訳も分からず、その味の魅力に引かれて北から南、片っ端から呑み、そして旨さに躍っていた。ある時「浦霞エキストラ」という大吟醸に出会った。途方もなく深い味わい、ゆらゆらと苺を思わせるような吟醸香、優しく優しく味蕾を刺激する。その頃の私は、山廃仕込みの押しの旨さや、すばらしい吟醸酒の吟熟した旨みが分かり始めた頃で、ある意味でこの吟醸酒との出会いは衝撃的だった。派手な香りをまとったような吟醸酒では無かったが、強く脳裏に焼き付いた。仕込んでいる酒米は「赤磐雄町」……知らなかった、読めなかった、「アカバンユウチョウ」だった。
あの酒米を追え!すぐにこの酒米の存在を探し「あ・か・い・わ・お・ま・ち」であることに気付く。そして行きついた先は「利守酒造」。酒米「赤磐雄町」を復活させた蔵元「利守酒造」だった。恥ずかしいが知らなかった。
酒の神様「野白先生」(熊本県酒造研究所内・野白先生謝恩刊行会刊)の「吟醸の理想と実際」の中にこんな下りがある。
……まず原料米の問題ですが、米は備前(岡山)雄町が欲しいのはだれでも同様と思います。しかしその備前米の入手は困難であります。昭和五年(1930年)ごろは赤磐郡軽部村のものをわれわれは使用していましたが、熊本県のごとき造石高の少ない県には備前米は全然配給がないので、まず兵庫県の山田錦を使用しております。……
その後も石川県の「菊姫」という山廃吟醸を普段着で飲める至高の酒だと思っていたと同時に、酒米の大切さを知り始める……。とき同じある日「レモンハート」というコミック漫画の中で、利守酒造・山廃純米大吟醸「秘伝」の話に出会う。再び私の前に「赤磐雄町」しかも山廃仕込み、もちろん蔵元は「利守酒造」……。唸ったのは言うまでもない。やっとの思いで手に入れた。その感動は今でも忘れない。
山廃純米大吟醸「秘伝」、女房と一緒に封切った。ドーンと一気に口中に味が広がり、香ばしい山廃の持つ「あの香り」が、ゆらゆらと鼻孔をくすぐる。湖面のさざ波を連想させるように味がせまって静かに喉の奥に消えてゆく。この瞬間の押しに言葉が出ない。喉の奥に消えたはずなのに、優しい残り香が戻ってきてすぐさま次の一杯を体が要求してくる。「やられた、なんて凄い酒なんだ。」
純米大吟「秘伝」は、本当の旨酒は腹で味わうことの大切さと醍醐味を教えてくれた。
それからというもの、いまだに酒米の帝王「赤磐雄町」にはやられっぱなしだ。
ここのところ、「雄町」がさまざまな蔵元で商品とされて出荷されているようだが、「赤磐雄町」を知り尽くした「田村豊和」名杜氏の醸す雄町を越える吟醸に、いまだ出会うことなし!
2007.01.13
酒一筋「後楽園」を呑んで・・・・・
●岡山の思い出
●お酒に合わせた料理
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●岡山の思い出
まだ行ったことがないのですが、岡山出身の友人が実家から届いたという桃をおすそ分けしてくれました大きくて、甘くて、とてもおいしかったです岡山=桃、のイメージが離れません
●お酒に合わせた料理
豚の角煮
●お酒に合いそうな料理
鯛の煮つけ、さつまあげ
●その他(感じた事を)
先日、屋久島へ行きました。
縄文杉を見るための一泊登山に「後楽園」を持っていき、山小屋でランタンの灯りの中、屋久杉で作った枡で後楽園を酌み交わしましたさらさらとした飲み心地が、登山の疲れを癒してくれましたちょっとしたつまみを食べながら、楽な気分で語らうのにちょうどいいお酒だと思いました ・・・中村真由美
2007.01.13
「紅雄町」 ~特別モニターの方から
特別モニターをお願いした方々から、声が届きました。
今回のモニターでは毎日、少量(80~100ml)を3週間の間、
夕食後、又は、就寝前に飲んでいただきました。
●松本 秀樹さん(30代男性)
1週間後
香りは日本酒だったので、最初の一口目は、酸味を強く感じ違和感がありました。一歩、日本酒の先入観から離れてみると白ワインに近い飲み口で、すっきりとした味に好感が持てました。
2~3日目ぐらいから、最初の日本酒の香りとのギャップは相変わらず感じるが、すっきりとした酸味は好印象(冷やして蒸し暑い夜に飲むのがちょっと楽しみ)。
生活上では、特に大きな変化は感じないが、心なしか疲れが翌朝に残らないような気がする。
2週間後
香りと味の違和感はなくなりました。当初強く感じた酸味も、うまみとバランスが取れており、後味をすっきりとさせてくれます。
体重は減らないが、夜遅い時間に夕食を取ることが多いのだが、就寝前に飲むともたれ気味の胃がすっきりとなるように感じます。翌朝の胃の重さを残さないことが、始めの「疲れが翌朝に残らない」感じにつながっているのではないか。
酸味の感じが白ワインに近いような感じがしたので、並べて飲んだら「うーむ!別物」。最初酸味を感じるのは同じだけれど、うまみの強さが全然別物。交互に飲むと白ワインは水の様に薄い。これは穀物の酒と、果物の酒のちがいですかね・・・。
~蔵元から~
体重はいくら飲んでも減らないでしょう! はっはっは・・・
原料の種類によって出来た物の旨味が違うと言う事はあるでしょうね。 日本人は主食が「米」なので「米から出来た日本酒」が良く合うのかもしれませんね!
3週間後
最初に感じた多少違和感のあった酸味が、続けるうちに酸味が程よく感じられ、後味をすっきりひきしめています。そのすっきり感が毎日飽きのこない味となり、毎日続けることが楽しみとなりました。もう少し飲みたくなってしまうのが難点ですが・・・。
生活上での変化は、毎日、寝る前に飲んだのですが、仕事柄、寝る少し前の遅い時間に夕食を取ることが多いのですが、食べ過ぎてちょっと胃が重い時も程よい酸味で胃がすっきりするようです。
また、翌朝の胃もたれが無くなったように感じます。
夜遅く食事をする方やすぐ食べ過ぎてしまう方(自分か?)等、翌朝前の晩の食事を頻繁に後悔する方にお勧めです。また、健康とは関係ありませんが、日本酒の飲まず嫌いの方にもお勧めできるでしょう。特にワインなどから日本酒に入るにはもってこいではないでしょうか。
前文にも記載しましたが、毎日決められた量を飲む、機能性に着目した方向も新しい試みで面白いと思いますが、一つの日本酒のジャンルとして酸味の際立った特異的な特徴を生かし、新しい日本酒の分類として料理との相性を前面に出した提案も出来るのではないでしょうか?(安易ですかねぇー)モニターは終わってしまいますが、今後とも続けてみたいと思いました。
~蔵元から~
3週間ありがとうございました!
毎日、適量を飲むと言うのが、私も気に入っています。
何でもそうだと思いますが、限度を超えてしまうと良い物も悪くなってしまう。
継続はちからなりでがんばって下さい!
追伸:やせる効果は無いですが・・・
●安江 達郎さん(30代男性)
1週間後
始めて一口飲んだ時の感想。
この酸味は何に例えたらいいんだろう・・・。ブドウ、イチゴの様な果物系か?
糖分を控えた梅酒の様な感じか?いずれにしても、純米酒、本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒といった従来の日本酒のジャンルのどれにも当てはまらない新種の日本酒といった感じがします。
味の評価はどういったらいいのでしょうか、比較対照が見当たらないので非常に難しいのですが悪く言えば薬っぽい感じかなというところです。
3日目ぐらいからの味の感想。
やはり、日本酒というよりロゼワインのような味わいでしょうか。ちなみに、一口だけ義父に飲ませたところ、同じようにワインの味だと言っていました。
生活上の変化は、特に無いように思います(他の酒をしこたま飲んでいるので効果も相殺されているのでしょうか)。
~蔵元から~
何事も飲み過ぎは良くないですよ。
1週間目ですから特に変化も現れてこないと思います。3週間目ぐらいからが効果が現れてくるそうなので。
2週間後
飲めば飲むほどこれは日本酒の味でない、という感じです。
むしろロゼワインに近い感じかな、と思えたので本物のロゼワインと飲み比べてみました。 ・・・やっぱり似てるかな。と思うと同時に、なんで酵母の違いだけでこんなに別次元のものができあがってしまうのか不思議に思うことしきりでした(それとも造りも普通の日本酒と違うのでしょうか?)。
生活上の変化は、以前、紅雄町以外のお酒もしこたま飲んでるので目に見えた変化は体感出来ません。ただ、変化が無いのはもしかしたら紅雄町が、抑止力になって体調維持しているのかもしれません。
アルコール度数16~17度というのは市販酒と比較すると高めだと思いますが、飲み口はそれを感じさせません。ついつい飲み過ぎて酔っぱらってしまいそうです。
~蔵元から~
ワインと日本酒の大きな違いは、やはり「果実」と「穀物」の違いでしょう。日本酒も「酵母」が違えば、出来あがった商品もかなりタイプの異なった物が出来ます。「紅雄町」は、通常の日本酒の造りと同じです。
(この味は、「紅麹」の特徴でしょうね!)
3週間後
飲み始めた頃の違和感もだんだんと無くなり、独特の酸味を楽しませてもらいました。
生活上の変化はあまり実感しませんでした(当初の予定は飲み始め3週間後で、血糖値など検査するつもりでしたが、諸々の事情で実行出来ませんでした)。
最初に書いた様に酸味が強いので、天ぷらなど油を使った料理に合わせると後味がすっきりして良いのではないかと思いました。あとイタリア料理、フランス料理など洋食系のこってりした味付けにも合うのではないでしょうか。
日本酒嫌いの人にこの酒をワイングラスに注いでロゼワインだといって飲ませればたいがいだまされてしまいそうです。
このお酒を長期熟成したものは有るのでしょうか?日本酒ぽくないこの味が古酒になることでどう味が変わるのか興味があります。
~蔵元から~
「紅雄町」を長期熟成させたものは、残念ながらありません。同じような味のタイプの「恵」の熟成させたものはあります。甘味と酸味のバランスが絶妙で結構いけますよ!
●岸本 俊彦さん(50代男性)
1週間後
最初に飲んだ一口は、少し酸っぱい感じがし、日本酒特有の味がしなかった様に思います。3日目からは、日本酒を飲んでいる感じがしてきましたが、どこか少し違うような・・・。
1週間飲みつづけて、特に生活のうえでの変化はないようです。
紅麹という名前なのでもう少し紅色が付いた方が良いように思いますが?
~蔵元から~
最初(搾り立て)は、きれいな紅色と言うかピンク色なのですが、時間(熟成)とともに紅色が黄色(黄金色)のような色に変化してきます(光などに当たることによっても色が薄くなっていきます)。
2週間後
身体には、特に変わった事なし。
チーズをつまみに紅雄町を飲みました。この出会いが、私には新鮮でおいしく感じられました。勿論、鯵の干物にもよく合いました。
遊び感覚で飲め、身体にも良くうれしいお酒です。
3週間後
体調には特に変化は無いようです。
私は、お酒に弱い方なので、やはり少し量を飲めば少し顔に出ますし、身体もつらい気がします。
出来れば、アルコール度数をもっと低くして頂けたらお酒の弱い人達にも気楽に飲めるような気がしますが・・・。
~蔵元から~
お酒の弱い方には、度数が高いと、確かにつらいと思います。私も、弱い方なので「紅雄町」に氷を入れたり、無い場合は水を少し加えて飲んでいます。
この様にすると飲みやすいですし、お酒の中の成分(紅麹)は変わらないので、紅雄町80~100mlに少し水を加えて飲んでみて下さい。
●秋田 計治さん(60代男性)
1週間後
就寝前に始めて飲む。
口に入れた途端ちょっと酸味を感じたが、飲みにくいものではない。
スーッと「のど」に運ぶ事が出来た。
今日で三日目だ。すっかり味に馴染み、あさっりした後味は親しめる。
1週間飲み続けて、寝つきが良くなったような気がする。
2週間後
口当たりよく、おいしく飲んでいます。
通常の日本酒との違和感は全くなくなった。
ぐっすりと眠れて目覚めがよくなった。便通も良くなったような気がする・・・。
3週間後
味にもすっかり慣れ、毎日就寝前に定量を飲んでいます。
朝食がおいしくなった(快便は続いております)。寝つきの悪い人、胃の調子がスッキリしない人にすすめたいと思います。特効効果は期待せず、毎日飲み続けることが肝要かと思います。文字通り継続は力です。
「紅雄町」の酒粕を使用したサケの粕漬けです。
おいしいですよ! サケが紅サケになったりして?
(神奈川県の「海鮮山鮮」さんで食べられます。)
先日、お店に伺ったら終売していました・・・残念!
もちろん呑んだ後の一杯に「紅雄町」置いてあります!
2007.01.13
備前焼大甕での仕込み
桶での酒仕込みが始まる15~16世紀まで、酒は甕(かめ)で造られていました。
幻の米「赤磐雄町米」(軽部産・雄町)を復活させ、『本物の酒』を志す利守酒造が次に目指したのは、この500年前と同じように大甕を使用した酒造りでした。もちろん、その大甕は本場岡山の備前焼、造りも昔のままで――。
平成6年、利守酒造四代目・利守忠義は備前焼の名匠・森陶岳氏に依頼し、その志に共感した森氏から容量500リットルにも及ぶ大甕を酒造用に譲り受けます。未知への第一歩が始まったのが、平成7年1月13日でした。
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利守酒造の裏山には、昔の防空壕跡のトンネルがあります。実はこの中に、純米大吟醸を詰めた20リットル入りの備前焼の甕が10数個、静かに眠っています。
商品として出す時期は未定ですが、いつか長期熟成酒としてみなさんに飲んでいただける時が来るでしょう――。
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2007.01.13
現代の名工 但馬杜氏
但馬杜氏 田村 豊和 利守酒造の杜氏として招かれ、四半世紀を越える年月が流れました。その間には、まぼろしの米と言われた「軽部産・雄町米」を復活させるための奔走があり、備前焼の大甕で酒を醸すという挑戦がありました。 |
酒造りに関しては決して妥協を許さず、納得行くまで試みるのが杜氏としての私の信条ですので、非常に充実した仕事ができたと自負しております。
利守酒造で醸される手作りの本物の酒は、機械ではまねできない芸術品と言ってよいでしょう。しぼったときはまだ半製品。それから先の管理も、酒造りにおける大切な要素です。
そのように大事に作られた酒ですので、飲むというよりは、かみしめてほしい、というのが、「酒一筋」を醸した私の願いです。
お客様に喜んでいただける酒であってほしいと、酒造期が終わった後も日夜願っています。杜氏歴は30年近くになりますが、酒造りは毎年一年生であると痛感しつつ、筆を置きます。