醸句通信

2009.12.01

酒一筋  醸句通信    第九十号

今回のコンテンツ
  1.酒のウソホント
  2.毎回楽しい「百人一酒」
  3.おいしい話


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◆  醸句通信  No.90   2009.12
◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆


 天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」
の米を守り育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと
美味しくお酒を飲んで頂くために楽しいお酒のお話を
お送り致します。

 このメルマガが、ほんの少しでもあなたのお酒の楽し
さにプラスになればと思っております。
                        利守酒造株式会社





【黒粕】(くろかす)
 酒粕の表面に黒または褐色
の斑点が現れたものを黒粕と
いいます。黒粕は粕が空気に
触れて数日後に現れ、粕の商
品価値を低下させるので嫌わ
れています。
発生原因は、麹菌の生産する
酸化酵素のためで、製麹条件
と関係深いようです。

 最近、酒造業界では嫌われ
るこの黒粕を利用して新しい
染毛料が開発されたみたいで
すね。正に逆転の発想!




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1.酒のウソホント    ▽ 酒粕の話5
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 酒のもろみが酒袋に入れられたのを見たことがあり
ますか。木綿(今はほとんどが化繊で出来たものにな
りましたが)の袋はパンパンにはち切れそうに膨らみ、
布地の織り目からしみ出した酒が袋の外を光らせます。
その滴りを集めた酒が「袋吊り酒」といって、口当た
りは限りなく柔らかで立ち上がる香りも素直そのもの
で最高の酒質だといわれています。
酒袋の中のもろみは、吊り下げたままで全部滴るわけ
ではありません。袋の織り目が酒粕でふさがり、滴ら
なくなります。
酒袋はもろみを満たすと上部を折り返して漏らないよ
うにして、酒槽(さかふね)に横たえられ、どんどん重
ねていきます。酒槽が一杯になると、圧板を載せ、圧
力機で圧力を掛けます。
伝統的な酒槽だと、まる二日掛けて酒を搾ります。
きつく搾らないと粕は板状にはなりません。固めの板
にならないと酒粕を袋から剥がし取り出すことができ
ません。
こうしてできた3~5mm厚さの酒粕ができるのにどれ
ぐらいのもろみが通過したのでしょうか。
酒袋の中身のもろみの量を袋の面積で割れば通った酒
の量(これは厚みというべきなのでしょうか)がわかり
ます。よほどのもろみが通過したように思えるのです
が、その厚みはわずか3cmなのです。
3cm深さのもろみを濾布の上に広げ、上からギューッ
と押しつけたら3mm厚さの酒粕ができるといえば納得
してもらえるでしょう。
これでもろみを搾る理屈はわかったのですが、これを
なんとか合理化しようと酒関係の技術者は苦心しまし
た。圧力を強くしたりまとめてぎゅっと搾れないかや
ってみたのですがすべては失敗でした。
もろみを搾るにはもろみの厚さは3cmが限界だったの
でした。
現在の最新の搾り機はこの原則を守っています。





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2.小倉あん子の「百人一酒」
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 殷富門院大輔(いんぶもんいんのたゆう)

 見せばやな雄島のあまの袖だにも
  濡れにぞ濡れし色は変はらず



《解釈》
  雄島のあまの袖でさえ、いつも波に濡
 れてはいるが、色までは変わらない。
 私の紅涙(血の涙)に染まった袖をあな
 たにみせたいものです。
 



 ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■

  見せばやな 蔵の若者 袖と裾
    濡れにぞ濡れし 色のないまで





 
《解釈》
  酒蔵の歴史を研究した人が、百年ほど
 前の蔵の働きぶりを詠ったものです。
 その頃、蔵で働く若者は「びしょ」とい
 われていました。主な仕事が水の運搬だ
 ったのです。袖や裾はびしょびしょにな
 るからだとされています。
 しかし、彼らはその環境の中で名人杜氏
 への道を学んだのでした。
 一日の仕事に疲れた体を回復する食べ物
 が「びしょ鍋」といわれるものです。








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3.おいしい話
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 チーズと日本酒の美味しい関係をお楽しみ下さい!
 
チーズは長い歴史があるだけに、チーズの造り方や熟
成の方法で、あっと驚くような事がありそれにはちゃん
とした理由があって、なるほどと頷けるものがあったり
します。
今回のチーズ「カチョ・ディ・フォッサ」はなんと穴に
3ヶ月間埋めたのち、掘り出して食べるのです。
なぜこんな事になったのでしょう。
それは今から500年以上も前、大切な食料源のチーズを
敵から守るために、地下に隠したのが起源なのだそう
です。春、羊が出産後に出す乳で製造したチーズを夏
に埋めます。
以前は秋のお祭りの日に掘り起こしていましたが、需
要が高まってきた近年ではそのタイミングも早まりま
した。
大きな穴に数個ずつ木綿袋に入れてから積み重ねてゆ
き、最後はセメントで穴を密閉します。
自然の中で時が経過するためその年の気候の影響を受
け、毎年チーズの味わいは異なるのです。
それはまさに「自然が与えてくれた人類へのプレゼント」
ともいえる「チーズ」の醍醐味でしょう。
さて、みなさんならこのチーズに何を合わせたくなり
ますか。
夏越えをしているのですから日本酒もそうありたくは
ないですか。という訳で夏が過ぎ味がこなれた酒を選
びましょう。
大地に抱かれて熟成したチーズの味わいは…羊乳の甘
味とコクと優しい酸味、各々のバランス具合がその年
の特徴。
さて今年の味は…。
試しておけば来年の楽しみが増えますよ。
年に一度の美味なる贅沢を是非!


 D&F テイスティー アドバイザー 粂田 康子



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【チーズのお問合せ】
株式会社フェルミエ Fromagerie Fermier
【本店】
東京都港区愛宕1-5-3
  愛宕ASビル1階
http://www.fermier.fm/





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 すでに新酒も発売(解禁)され、蔵の中では
酒仕込の真っ最中。
朝は気温がぐっと下がりますが、昼は暖か。
この冬も暖冬なのでしょうか?
酒造りには気温が下がってくれる方がありがた
いですが・・・。
12月も新酒の発売を予定しております。
発売予定日に合わせて蔵では作業を行っており
ますが、予定よりも若干遅れるかもしれません。
(なかなかこちらの思う通りには行かない事も)

 先月末に酒一筋ホームページをリニューアル
致しました。
今まで以上に見やすくなったのではないかと自
負しておりますが、いかがでしょうか。
海外からでも文字化けする事無くご覧頂ける様
に仕様も変更しております。
「醸句通信」「蔵元情報」では今迄以上に情報
発信していく予定です。
是非、新しくなった”酒一筋ホームページ”を
ご覧下さい!



◆醸句通信(日々の出来事を不定期に随時更新中)
   http://www.sakehitosuji.co.jp/wp/

◆蔵元情報(イベント等のご案内を随時掲載中)
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                        利守酒造株式会社 
             
                        編集担当・明日香

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