醸句通信

2008.07.31

酒一筋  醸句通信    第七三号

今回のコンテンツ
  1.酒のウソホント
  2.毎回楽しい「百人一酒」
  3.おいしい話
  4.ドイツ出張 報告


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◆  醸句通信  No.73   2008.7
◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆
 天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」
の米を守り育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと
美味しくお酒を飲んで頂くために楽しいお酒のお話を
お送り致します。
 このメルマガが、ほんの少しでもあなたのお酒の楽し
さにプラスになればと思っております。
                        利守酒造株式会社
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1.酒のウソホント ▽   麹と麹室 1
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 麹は酒造りに欠かせないものです。
蒸した米に麹菌を生やし、できた麹の力で
蒸米を糖化してそれを酵母の力でアルコール
発酵させる、日本酒造りの特長となっています。
ご飯や蒸米などの澱粉を糖化する力は、私た
ちの口中にある唾、それから麦芽と麹だけが
持っているたいへんな能力なのです。
この麹菌は、カビ(黴)の一種です。お酒だけ
でなく味噌や醤油づくり、甘酒づくりにも絶対
欠かせません。日本の「おいしさ」は、この麹
に負うところが大きいのです。さらに、カビか
らたくさんの抗生物質も作られました。
だから、「カビ文化」という言葉もあるほどなの
です。
 カビの一種である麹菌が、お酒造りや甘みを
つくるのに役立つ物とわかったのは、日本の米
作りと一緒でしょうから、縄文時代の中頃な
のでしょうか。当時の人たちは、ご飯を暖かく湿
ったところにおくと、麹菌が生えることを経験で知
りました。私たちも梅雨時に衣服やいろんなもの
にカビが生えるのを知っています。
そして「困った」と思っています。乾いた状態だと
カビは生えませんね。
私たちの二千年以上前の先祖さまたちは、麹を
つくろうとして、暖かく湿った空間を探しました。
それは自然の中にありました。
洞窟がそうです。温度が低ければ焚き火をして
加温すればいいのです。
そこで麹をつくることを覚えました。
洞窟がなければ麹ができない。
その自然環境に恵まれたものだけが麹をつくれ
ました。
酒造りが産業になったのは室町時代です。
京都の街には314の造り酒屋がありました。
そして麹づくりの職業は、北野天満宮が製造の
許諾権を持ち、組織化されていました。
利権になっていたのです。 
江戸時代の産業の様子は、日本山海図絵という
画集で残っています。酒造りの絵をみると、庭に
築山があり、それに横穴が掘られ、麹の出し入れ
が描かれています。暖かくて湿っている場所を、
酒蔵の庭内につくったのです。
 
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2.小倉あん子の「百人一酒」
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 権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)
 高砂の尾上の桜咲きにけり
  外山の霞立たずもあらなむ
《解釈》
日本人の花の好みは、中国文化
の影響を強く受けていた時代は
「梅」が主役だったらしい。
それがやがて「桜」に移っていく。
この歌は、「桜」の美しさを称えた
ものである。その称え方がいい。
遠山の峰に咲く桜、桜は吹雪も
いいが遠景もまたいい。
その遠景の桜がよく見えるように、
霞が立たぬようにと歌った。
 今は、桜より酒と言わんばかり
に、桜の下で飲めや、歌えの大
騒ぎをするのが花見とされている
が、桜を遠くから眺めるのもいい。
そんな桜を眺めながら、酒を楽し
みたいものだ。
 ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■
 「高すぎヤ」おのれの予算 越しにけり
    今宵の借りは ただにしておけ 
《解釈》
 酒が入るとだいたい気が大き
くなります。三本で止めておこう
と心づもりしていたのが五本も
飲んでしまい、さぁお勘定が足り
ません。
すると「高すぎだ」とイチャモンを
つけます。
「こんなに飲む積もりはなかった」
なんていいます。
「この次でもよろしゅうございます」
とお店の方が折れると、それに
つけ込んで「ただにしろ」なんて
いいますね。
飲まなきゃいい人なんだけど。 
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3.おいしい話
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 チーズと日本酒の美味しい関係をお楽しみ下さい!
「サント=モール・ド・トゥーレーヌ トレ・セック」
チーズって同じものでも熟成期間によって見た
目も味わいも全然変わっていきます。
その変化をはやく楽しめるのは、小さいサイズ
(手の平にのる位)で造られるものが多い
シェーウ゛ル(山羊乳チーズ)です。
その中でもシェーウ゛ルの有名チーズ
「サント=モール・ド・トゥーレーヌ」のご紹介を
しましょう。
うしろのトレ ・セックは熟成したものに付きます。
フランス語でとても渇いたという意味。
シェーウ゛ルは熟成と共にチーズ中の水分が飛
んで生地が引き締まってゆくので、この様な表
現をします。
水分が抜ける分ミルクの濃さが強調され、凝
縮した旨味が出てきます。表皮からは香ばしい
ナッツ香を放ち、より複雑で奥行きのある味わ
いに。熟成が織り成すこんなチーズには、長い
年月を経た長期熟成酒が絶好のお相手でしょう。
絶妙な大人の関係、どうぞお試しあれ!
           フェルミエ渋谷店店長 粂田
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株式会社フェルミエ Fromagerie Fermier
【渋谷店】
東京都渋谷区渋谷2-24-1
東急百貨店 東横店B1フードショー内
http://www.fermier.fm/
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4.ドイツ出張 報告 Ⅱ
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  5月15日 ベルリン
     16日 デュッセルドルフ
     17日 フランクフルト
 17日、8:20の特急で目的地であるフランクフルトへ
フランクフルトの試飲会は、ベルリン、デュッセルドルフ
とは、ちょっと違った雰囲気で行われました。
オペラ座近くのレストランを貸し切っての開催です。
業界関係者のテイスティングを行い
その後、酒と料理を合わせて楽しむ”酒の会”が開催
されました。
酒一筋と合わせた料理は↓
http://www.sakehitosuji.co.jp/report/travel/000858.php
前もってシェフがきき酒を行い、その酒に合った料理
を作って下さいました。
合いますね!
濃醇な日本酒ならこちらの料理にもマッチします。
ドイツと言えば白ワインと言うイメージがあるぐらい
ですから、日本酒も今後の広がりに期待が持てそうです。
こちらの人は、よく飲んで、よく食べますね。
22時閉会予定が気付けば24時をまわっていました。
(恐るべしドイツ時間)
あっという間のドイツ滞在でしたが(ほとんど移動、移動
に費やされてしまいました)得るものは多かったと思います。
今後は、ドイツにおいても酒一筋が楽しめる様に準備を
進めて行きたいと思っております。
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 ”田植祭”もたくさんの方にご参加頂き無事終了致しました。
苗の方はすくすくと育っておりますのでご安心下さい。
(定期的にホームページに試験田の様子をアップ致します)
 この季節は、恒例の梅酒の仕込みです。
ちょうど梅の収穫時期に合わせて行わなければならない為、
待ったなし。
(昨年仕込んでおいた梅酒は実を引き上げビン詰めして貯蔵)
この作業が終われば、「留粕」を掘り出す作業がはじまります。
留粕に漬けた”瓜”は酒の肴にもなって美味しいですよ!

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